夢をみた。
　ガラスの割れる音と、四足歩行動物の走る音。
　誰かの、泣き声。
＊＊＊
　時刻は午前七時五十分、朝日が少しずつ顔を出し始める時間。
「ふぁ……」
　あくびをしながら歩くのは美原光太。学校指定のシャツに、中学時代から使っているセーターを着て、私服の着用が許されている高校に通う生徒としては比較的真面目な姿をしている。携帯電話を片手に、学校への道のりを一人でゆっくりと歩いていた。ニュースサイトで、政治のことを軽く読み流し、最近好きになったバンドの最新情報を見て学校へ行くのが彼の登校スタイルだ。
「げ、新曲か……。今月金ないのになー……」
　そんな風に独り言を呟きながら歩いていると、光太の足元から聞きなれない音がした。ぴたりと足を止める光太。足の裏に、少し大きな石を踏んだような感触があった。誰かのストラップとかだったら、どうしよう。そう思いながら光太は恐る恐る足を上げた。
　そこにあったのは、燃える炎が閉じ込められているような印象を与える、赤い石。ビー玉のような形をしたそれを光太は持ち上げて、様々な角度からみる。ストラップにするような金具はついていないので、光太が踏んで壊したようではなかった。
「パワーストーン？」
　一昔前に流行ったあれと同じか、と納得した光太はその石を何気なくズボンのポケットに入れた。
　それから学校の門をくぐると、登校してきた生徒がどことなく騒がしかった。生徒たちの視線の先には、何人かの教員が集まっていて、ホウキとゴミ箱を持っていた。またか、と光太が思ったとき
「おはっ！！」
「うお？！」
　後ろから誰かがぶつかってきた。光太は呆れたような息を吐いて、ぶつかってきた人物を見る。
「おはよ、光太」
「あのさ、ミツ。お前、挨拶とタックルが別物って知ってる？」
「もー、光太冷たいなあ。これ、スキンシップ」
　にこにこと笑いながら説明するのは、光太のクラスメートの松田満尋。その顔には、全く悪びれた様子はない。
「そういやさ、まただろ？ あれ」
　少し笑顔を消して、満尋は集まっている教員たちの方を見て言った。光太も頷き、視線を教員から少し上にずらす。二階の廊下側の窓ガラスが、バットで叩き割られたかのように粉々になっていたのだ。
「よく割る奴いるな。物好きだな」
「でも、おれの通ってた学校なんて日常茶飯事レベルで割れてたぜ？」
　さらりと恐ろしいことを言ってのける満尋に光太は苦笑いを浮べる。
　ここ数日、光太の通う高校で窓ガラスが割られる事件が発生している。夜中のうちに割られているらしいが、犯人は不明。宿直が音に気づいて現場に行くが、姿はないらしい。
「物騒な世の中だなあ……政局も不安定だし」
「光太が政局っていうと、ギャグみたいだな」
　そんな他愛のない会話をしながら、二人は校舎に入った。

セイバー部
→美原光太
部長・苦労人

→姫崎日与子
部員・男勝り

→丸屋元輝
部員・ガキっぽい

→相葉紀稔
部員・自由不思議人

→鶴見サチ
部員・おしとやかヒロイン

生徒会
→野ノ浦舞華
会長・女王様

→羽場庚
副会長・アフターフォロー

→時屯理和
副会長・いじられっ子

→芦之井万歳
書記・クールメガネ

→遼ななつ
庶務・ハイテンションオタク

美原光太（みはらこうた）
Sex:♂
Age:17(高ニ)
Wepon:剣

セイバー部部長。
生徒会長の舞華とは幼なじみ、日与子とはクラスメイト。
会長に命令されてセイバー部の部長となる。部員にも軽くあしらわれたり、生徒会にパシられたり、割とかわいそう。
性格は戦いに向いてない感じの大人しい子。
でも戦いになると、他の部員たちを守ろうと前線に出る。一人で突っ走る部分もある。意外と熱い。
困った人を放っておけないお人好し。

姫崎日与子（ひめざきひよこ）
Sex:♀
Age:17(高ニ)
Wepon:グローブ

セイバー部部員。
すごく男勝りで真面目。その分お堅いので、嫌われてないけど近寄りがたい。クラス委員タイプ。口調が時代錯誤。
でも意外と面倒見はいい。光太が立ち回り悪かったりしたらすぐ一喝。声デカい。
家が武術の道場で、変身しなくても普通に強い。
勿論戦いでは最前線。一対一が一番得意。戦いでもなく光太を叱ることもしばしば。
苺が好き。

丸屋元輝(まるやげんき)
Sex:♂
Age:16（高ニ）
Wepon:銃

セイバー部部員。
物凄くガキくさい、ゲーセン大好き。でも銃キャラは強くなきゃいけない気がするから、強い。
人に命令、怒られるのが嫌いで、日与子とめちゃ仲悪い。生徒会長も苦手。
戦闘でも勿論人の話を聞かず、光太とは違う意味で突っ走る。強いのでさらにタチが悪い。
優秀な兄がいる。