リレー小説用ブログ
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「……あら、来たわね」
日与子はその声を聞いて苛立ちを覚えた。
「人を呼び出すときは場所もはっきりと言え、たわけ」
「たわけ、って……普通女子高生が発するような言葉じゃないわよ」
くすり、と女子高生らしからぬ妖艶な笑みを浮べて生徒会長、野ノ浦舞華は日与子に言う。
場所は、今朝割られていたガラスの前。替えのガラスが既に設置されていたが、地面にはまだ細かいガラスが落ちて割られていたことを物語っている。舞華はそんなガラスの破片を見ていた。
「また、倒せなかったみたいね」
「数が予想よりも多かっただけだ。用件はそれだけか」
「数が多かったなら、仲間が必要ね」
舞華が言うと、日与子はいつも以上に眉間に皺を寄せた。
「問題ない」
「ガラスの損害が出ているのに、『問題ない』は、無いでしょう?」
「…………」
舞華の言葉に反論ができない日与子はじっと新しくなった窓ガラスを睨んだ。
「立ち上げるのか、本当に」
「何を?」
「とぼけるな。あの、部活だ」
日与子が舞華を睨むと、舞華はその視線に気付いて「ああ、そうね」と適当に返事をした。
「そのために、呼んだんじゃないのか」
「それもそうだけど、それより仲間の話がしたかったのよ」
「問題ない、と言ったはずだ」
「見つかったのよ」
何が、とは日与子は尋ねなかった。話の流れぐらい、理解していたからだ。そして、しばらく二人の間に沈黙が生まれる。
「私には関係ない」
日与子はそれだけ言って、その場から去って行った。
あの生徒会長は、気に食わない。日与子は後ろにいる舞華の姿を思い出しながら思った。
舞華ははっきり言えば日与子と対照的で、スカート丈は生徒会長のくせに膝上二十センチ。そのスカートはもちろん学校指定の物ではないし、カーディガンもだらしなく伸ばしている。髪も結ぶことなく肩に掛かっており、しかもパーマが掛かっているようでふわふわとしている。とどめは茶髪。
「……全く、ふざけている」
早歩きをする日与子の足音は苛立ちを含んでいて、一歩一歩が重いものだった。
一方、そんな苛立つ日与子の背中を見る舞華は小さくため息をついていた。
「固いわねぇ」
「それは舞華が緩すぎるんじゃ」
と、舞華の後ろから声をかけたのは生徒会副会長の羽場庚だった。
「えー、そうかしら? あたし、フレンドリーをモットーにしてるし」
「フレンドリーとは違うじゃろ」
「そう? まあ、アフターフォローは庚に任せるわ」
フッと舞華が笑うと庚は小さく息を吐いた。生徒会長の命令に従うのが、その他会員の役目であることぐらい、既に知っているのだ。
「はぁ……」
何となく今日は災難な一日だったと、就寝前の光太は思った。別に大きな不運が彼に降って来たわけでもないが、クラスの風紀委員に突っかかれたことと、その風紀委員の口から出た生徒会会長の名前。しかも進路についても担任に言われたため少しブルーが入っている光太である。
「あ」
そのとき、光太はふと制服のポケットに入れっぱなしだったあの赤い石について思い出した。光太はポケットから取り出し、石を光にかざして見た。赤い炎が、石の内側で燃えている。
「なーんてな」
やけにロマンチックな考えをしてしまった、と光太は笑ってベッドに入った。そうしたら、すぐにうとうとと眠気が襲ってきた。そのまま、光太の意識は闇に溶けた。
日与子はその声を聞いて苛立ちを覚えた。
「人を呼び出すときは場所もはっきりと言え、たわけ」
「たわけ、って……普通女子高生が発するような言葉じゃないわよ」
くすり、と女子高生らしからぬ妖艶な笑みを浮べて生徒会長、野ノ浦舞華は日与子に言う。
場所は、今朝割られていたガラスの前。替えのガラスが既に設置されていたが、地面にはまだ細かいガラスが落ちて割られていたことを物語っている。舞華はそんなガラスの破片を見ていた。
「また、倒せなかったみたいね」
「数が予想よりも多かっただけだ。用件はそれだけか」
「数が多かったなら、仲間が必要ね」
舞華が言うと、日与子はいつも以上に眉間に皺を寄せた。
「問題ない」
「ガラスの損害が出ているのに、『問題ない』は、無いでしょう?」
「…………」
舞華の言葉に反論ができない日与子はじっと新しくなった窓ガラスを睨んだ。
「立ち上げるのか、本当に」
「何を?」
「とぼけるな。あの、部活だ」
日与子が舞華を睨むと、舞華はその視線に気付いて「ああ、そうね」と適当に返事をした。
「そのために、呼んだんじゃないのか」
「それもそうだけど、それより仲間の話がしたかったのよ」
「問題ない、と言ったはずだ」
「見つかったのよ」
何が、とは日与子は尋ねなかった。話の流れぐらい、理解していたからだ。そして、しばらく二人の間に沈黙が生まれる。
「私には関係ない」
日与子はそれだけ言って、その場から去って行った。
あの生徒会長は、気に食わない。日与子は後ろにいる舞華の姿を思い出しながら思った。
舞華ははっきり言えば日与子と対照的で、スカート丈は生徒会長のくせに膝上二十センチ。そのスカートはもちろん学校指定の物ではないし、カーディガンもだらしなく伸ばしている。髪も結ぶことなく肩に掛かっており、しかもパーマが掛かっているようでふわふわとしている。とどめは茶髪。
「……全く、ふざけている」
早歩きをする日与子の足音は苛立ちを含んでいて、一歩一歩が重いものだった。
一方、そんな苛立つ日与子の背中を見る舞華は小さくため息をついていた。
「固いわねぇ」
「それは舞華が緩すぎるんじゃ」
と、舞華の後ろから声をかけたのは生徒会副会長の羽場庚だった。
「えー、そうかしら? あたし、フレンドリーをモットーにしてるし」
「フレンドリーとは違うじゃろ」
「そう? まあ、アフターフォローは庚に任せるわ」
フッと舞華が笑うと庚は小さく息を吐いた。生徒会長の命令に従うのが、その他会員の役目であることぐらい、既に知っているのだ。
「はぁ……」
何となく今日は災難な一日だったと、就寝前の光太は思った。別に大きな不運が彼に降って来たわけでもないが、クラスの風紀委員に突っかかれたことと、その風紀委員の口から出た生徒会会長の名前。しかも進路についても担任に言われたため少しブルーが入っている光太である。
「あ」
そのとき、光太はふと制服のポケットに入れっぱなしだったあの赤い石について思い出した。光太はポケットから取り出し、石を光にかざして見た。赤い炎が、石の内側で燃えている。
「なーんてな」
やけにロマンチックな考えをしてしまった、と光太は笑ってベッドに入った。そうしたら、すぐにうとうとと眠気が襲ってきた。そのまま、光太の意識は闇に溶けた。
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